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しかしながら、その中身は、チタン素材を使い、フェースの反発係数を高めていくことに加えて、重心設計という点でも代を重ねるごとに進化してきた。 「それはつまり、ALL NEW ゼクシオ(以下ANゼクシオ)の適合ドライバーに通じる考え方でもあるわけです」 と、ANゼクシオの商品企画を担当したSRIスポーツ・商品開発部の山元健は語る。 ANゼクシオの適合モデルのドライバーは、ヘッドの反発係数が抑えられて大幅な初速アップが期待できない分、低重心化による高打ち出し・低スピンの弾道と、スイートエリアの拡大によって、オフセンターショットでの飛距離ロスを少なくし、結果として平均飛距離をアップさせることをめざした。ANゼクシオのFWは、まさにそのコンセプトに基づいて作られたのである。
具体的には、フェースのスイートエリアを拡大し、ボディは重心を下げ、慣性モーメントも大きくして重心が深くなるような構造をめざした。そうして生まれたのが、「チタン(フェース)+マレージング(ボディ)+チタン(クラウン)」という“異種金属複合構造”だ。これは、従来モデルとは材質まで変えた適合モデルドライバーと同じ3ピース構造である。 「手間はかかりますが、構造としては別々のパーツにして、それぞれにいちばん適した素材を使うことで、性能を徹底的に追求しました」
反発性能を向上させ、スイートエリアを拡大するには、フェースを大きくすることが何より効果的である。ただ、ドライバーのように上方に広げてしまっては、地面の上にあるボールをとらえるのが難しくなってしまう。 では、フェースの大きさを変えずに反発係数を上げ、スイートエリアを広げるにはどうすればよいのか。 「“従来とは違う新しい発想が必要だ”と考えました。今までは、反発を上げるために、どこを薄くできるかという考え方でした。それを今回、ダンロップ独自のデジタルシミュレーション解析を活用し、いったんフェース全体の肉厚を薄くした状態から、品質、性能面で必要なところだけを厚くしようと考えたのです」 その結果、フェース裏面にアスタリスク型のリブをつけると、芯を外してヒットしてもフェース面全体に衝撃力が分散することがわかった。 「インパクト時の衝撃力はフェース中央に集中しますが、ANゼクシオでは、衝撃力をフェース全体に分散させ全体がへこむようにしました。大きく変形するほうが反発力は大きくなるイメージがあるかもしれませんが、大事なのは変形量ではなく、フェース全体でどれくらいエネルギーを蓄えられるか。アスタリスク型のリブをつけたフェースであれば、芯を外してヒットしても大きなエネルギーが蓄えられるのです」 先代モデルでは、もっとも薄いところでも2.2ミリあったフェースが、ANゼクシオは1.8ミリ。この薄さと相まって、反発係数はアップし、スイートエリアも拡大。その結果、飛距離は先代モデルにくらべ平均で4ヤードアップ(HS40m/sでRシャフトの4Wを実打テストした場合)したのである。 この飛距離アップには、もうひとつ大きな要因がある。新たに開発されたMP-400カーボンシャフトだ。 「これまでは、フィーリングが良くて、ヘッドスピードが速くなるシャフトを作ろうとしてきました。それに加えて今回は、シャフトの働きで打ち出し角を上げられないだろうかと考えたのです」 打ち出し角を上げるのに、シャフトの挙動=しなり方のメカニズムを解明する必要がある。 「マシーンを使って一定のスイングをさせ、インパクトの瞬間のしなり方を分析することはできます。でも、マシーンと人とでは、シャフトが変形する挙動が違うのです」
「シャフトの挙動の研究として、アベレージゴルファーの代表的なスイングモデルづくりに取り組みました。まず、社内での実験を重ねて基本的なスイングモデルを完成させました。さらに、コンピュータの中でそのスイングモデルに様々な剛性分布を持ったシャフトを装着したクラブをスイングさせて、打ち出し角が上がるシャフト構造とはどんなものなのかを解析しました。それによって、スイングのバラつきに左右されることがなく、シャフトだけを純粋に評価できるようになったのです」 その結果、「手元が硬く、中央は柔らかく、先は硬い」という組み合わせパターンが、打ち出し角アップの効果が最も大きいことが確認でき、実際の設計に生かすことになったのである。それにより、3Wでは、従来モデルからロフトを14°から15°に変えてやさしい設定にしながらも、最高地点が6ヤード高くなり、同時に飛距離アップも実現した。 そして、このコンセプトは、FWだけでなく、ANゼクシオのドライバー、ユーティリティ、アイアンすべてのシャフトに取り入れられている。 ANゼクシオのユーティリティの開発にあたっても、山元たちはある思いきった変更を試みた。 それは、ユーティリティというクラブが占めるポジションに関係していた。 ご存じのように、近年、アマチュアゴルファーは、3番、4番などのロングアイアンを使わず、人によっては5番アイアンさえバッグに入れないケースもあり、かわりにショートウッドやユーティリティへのニーズが高まっている。自分もそうだという方は少なくないだろう。 実際、ダンロップでは、FWとユーティリティの両方をラインナップしているが、「それぞれをどういう状況でどう使えばいいのか?」という質問は、依然としてショップやユーザーから多く寄せられている。
これもまた、ひとつの発想の転換といっていいだろう。 シャフトを短くすれば、操作性がアップしてミート率は高くなる。だが、その反面、ヘッドスピード(HS)は落ちるため飛距離の点ではマイナス要素になる。 「そのハンディを、ヘッドの性能アップでカバーしようと考えました。そのためには、今まで以上に低重心化し、高打ち出し・低スピンにする必要があったのです」 そのために開発陣が注目したのが、タングステンニッケルウエイトだった。 先代モデルでは、高さ5ミリ程度の円筒形のものをヘッドに押し込むという方法をとっていた。それをANゼクシオでは、ウエイトを薄い板状にして、ソールの凹み部分にはめ込む構造に変更したのである。 「同じ重さなら、薄く平べったく作ったほうが重心は低くなります。ウエイトも、ソールに広く薄く貼り付ければ、重心を低く、かつ深くする効果が期待できますから」 ウエイトの重さ自体も、先代モデルでは2個あわせて12g程度だったのが、ANゼクシオでは、3倍以上の40gと大幅にアップしている。ちなみに、総重量は先代モデルと同じだ。 そしてフェースも、反発力を高め、スイートエリアを広くするために、FWと同様にフェース裏面をアスタリスク型のリブ構造にした。こうした構造の組み合わせによって、飛距離は先代モデルにくらべ平均で2ヤードアップ(HS40m/sでRシャフトのU6を実打テストした場合)した。ただ、ANゼクシオはこの数字以上に進化したと山元たちは自負している。 形状に制約があるFWとユーティリティも、ANゼクシオでは、細部へのこだわりによってそのカベを乗り越え、さらなる打ちやすさと飛距離アップを成し遂げたのである。
次回の特集は、「アイアン編」となります。 ![]() |
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